皆さんはゴールデンウィークは、
どのようにお過ごしになったのでしょうか。
善光寺に向かう中央通りでは、
花を飾るイベントなどがあり、
店にも、大勢の方がお見えになって、
ありがたいことだ。
たいへん混雑をしてしまい、
長い時間お待たせをして、
申し訳けないと思っている。
この時期、私としては、
いつもより大量のそばを打ち、
それを釜で茹でることになる。
身体は元気なつもりでも、
やはり、かなりの負担になっているようだ。
閉店してから行う、
汁作りなどの仕込み中には、
強いだるさを感じるようになってしまった。
腕や胸の筋肉も、
痛むというほどではないが、
普段とは違うふうに張ってしまっている、
歳のせいにはしたくはないが、
まあ、これが現実なのだろうなあ。
で、そば打ちの話。
よく、重労働でしょうと聞かれるけれど、
そば打ち自体は、それほどのことはない。
ただ、それを五回も六回も、
時間に追われながらするとなると、
話は別だ。
そば打ちで、最も身体に負担がかかるのが、
最初の木鉢での仕事だ。
粉に水を含ませる「水回し」は、
手を、水平に動かすので、
腰に力がかかる。
忙しい時には2キロを超える量を扱うから、
なおさらだ。
粉は水が馴染んでいくににつれて、
ますます重くなるので、
しっかり脚を踏ん張って行う。
ここで、時間をかけてしまうと、
そばに粘りがでてしまう。
そして、その粉を丸めてから、
ギュウギュウと捏(こ)ねることになる。
どのくらい生地を捏ねればいいのかと、
そば打ちをする方に聞かれることがある。
まあ、粉や量によっても変わってくるのだろうが、
よく捏ねることに越したことはないだろう。
私の場合は2キロぐらいの玉だと、
だいたい120回ぐらい、
時間にして2分半を捏ねている。
そう、ちょっと、息が上がる程度にだ。
だいたい百回前後で、
生地の伸びがぐっと良くなる感覚に変わる。
そして、指で押してみて、
じわっと戻ってくるようになればいい。
水加減が多いと捏ねるのも楽だが、
切ったときに麺線が乱れやすく、膨らみ感がなくなる。
だから、
ある程度硬めの玉を、
体重を載せるようにして捏ねていく。
どのくらい捏ねるかは、
そば屋によって考え方があるようだ。
でも、食べてみれば、どのくらい力を入れて捏ねたのが、
分かるっていうものだ。
こんなことで、手を抜いちゃいけないね。
人によっては、捏ねすぎると、
まったく弾力がなくなってしまうことがあると言う。
うどんを打つ時もそういうことがあるそうで、
「腰が抜ける」というのだそうだ。
でも、私も試してみたが、
かなりの回数を捏ねてみても、
そのようなことはなかった。
粉や、割粉の具合で、
起こることもあるのかなあ。
とにかく、
どんなに忙しい時でも、
どんなに身体が疲れていても、
この捏ねることだけはしっかりとするようにしている。
そうしないと、
お客様に喜んでいただけないような気がしてね。
ということで、
まだまだ、歳のせいにしたり、
そば打ちが辛いなどと言ってはいられない。
まあ、少しは休ませていただくことにしよう。