手打ちそば屋は眠れない

スペインに行ってきました。

開店以来のまとまった休みをいただき、
スペインに10日ばかり行ってきた。
むかし覚えたスペイン語は、
かなり怪しくなっている。
それでも、ホテルもアパートも自分で予約し、
古くからの友人夫妻と、正月営業の疲れを背負ったまま、
エイと、でかけてみた。

 

アパートとの約束に、
スペイン語でメールを書いたのだが、
返事は英語だった。
だいじょうぶかなあ〜〜。

 

で、今回の一番の目的地は、
サンティアゴ・デ・コンポステーラという、
スペイン北西部の町。
ここは、ヤコブを祀る大聖堂があり、
キリスト教信者にとっては、
巡礼をしてまで訪れる聖地となっている。

 

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折しも冷たい雨が降っていたが、
雨に濡れた古い街は、
独特の落ち着いた雰囲気を持っている。

 

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ここは大西洋に近いということで、
魚介類が豊富。
特にタコが有名なようだ。
柔らかく蒸し上げたタコに、パブリカがかかっていて、
独特の風味。

 

 

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ちいさな赤貝のようなものもいただく。

 

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地元の白ワイン、リベイロは、
日本の盃のような陶器でいただくようだ。

 

そんなことで、スペインの食べ物と雰囲気を味わってきた。
とてもとても、感心したり、
考えさせられることも多かった。
そんなことを、おりおり、
アップさせていただくことにしよう。

 

 

ちょっと一休み

年末から、新年への、

大きな山を乗り切ることができました。

みなさんありがとうございました。

 

ふうー。

 

というところが、

正直な感想。

 

忙しすぎて、このブログすら更新できなかった昨年。

今年は、自分の時間を持てるように、

頑張るつもり。

いえ、

決してサボるのではなくてね。

 

とりあえず、

これから二週間ほどお休みをいただいて、

からだのメンテナンス。

心に油をさして、

少しは動きをなめらかにしたいと思っております。

 

 

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普通のそばは玄米、さらしなは白米。

かんだたでは、さらしな粉を使った、
さらしなそばを「小町」と称して提供させていただいている。
この名前のせいか、何となく、
女性の方の注文が多いような気がする。
確かに、女性好みの、やさしい味なのだ。
もちろん、男性の方も、さらしな好きの方がいらっしゃる。
そば通の行き着く味、とも言われている、、、そうだ。

この「さらしな」のそばは、
けっこう誤解の多いそばのようだ。
「さらしな」って何ですか、
と聞かれる方もいらっしゃるし、
初めて召し上がったという方もいらっしゃる。

ソバの実のデンプンだけを挽き出した粉で、
普通のそばより、色が白い。
モチっとした食感で、甘みが強いそばになる。

よく、聞きかじりに、
一番粉のことだという人がいるが、
それとは少し違うようだ。
確かに昔は、普通に粉を挽いて、
目の細かいふるいを通したものを使っていたみたいだ。

でも、それでは、味のないそばになってしまう。
今では、全く別の方法で、作られているという。
わかりやすく、コメに例えて言うと、
普通のそばは玄米、さらしなは白米。
と言うところか。

それならば、何割ぐらい磨いているのですか、、、
などと聞かれても、
これは、あくまでも、例え話なので。

この「さらしな」を手打ちするのは、
なかなか難しいものだ。

何しろデンプンだけなので、
ただでさえ仲の悪いそば粉同士が、
一緒になってくれない。
そこで、熱湯を使って、
「友つなぎ」と言う方法で、
さらしな粉を練り上げる。

そして、伸びのない生地なので、
それを延ばすのが難しい。

さらしなそばを扱っている多くの店では、
生地を練り上げた後、
ロール式の製麺機に掛けてそばを作るらしい。

先日行った東京の老舗店でも、
普通のそばは手打ちだったが、
さらしなはロールを使っていたっけ。

でも、貧乏なかんだたは、
その製麺機すら買うことができないので、
もっぱら、手で打ち上げるしかないのだ。

おかげで、未だにデコボコのさらしなそばをお出ししていて、
まことに恥ずかしい。
いや、恥ずかしがっているフリをしておこうか。

ところで、「さらしな」は漢字で書くと「更科」。
それが、長野の古名の「更級」と関係あるのか、
と言われれば、、、よくわかりません。
でも、更科に関するエピソードは、
たくさんあるので、またの機会に。

 

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そばの輸入の75パーセントは中国産。

さて、昨年は全国的にそばが不作で、
国産の玄ソバが不足して、
値段が高騰していることを、
前回のブログでお伝えした。
 
どうしても、質の良いそばがなければ、
この夏を乗り切るためには、
外国産を使わなくてはならないかと覚悟していたのだが、
どうやら、その怖れはなさそうだ。

さて、そばの輸入について、
昨年の財務省の統計が出ていた。

玄そばの輸入量は、5万4千トン。
一位は中国で2万5千トン。
次がアメリカで、1万7千トン。
三位がロシアで、8千トン余りとなっている。

アメリカでは、健康食ブームもあって、
そばの栽培が盛んになっているそうだ。
でも、そこで栽培されるのは、
シリアルやクッキー向けで、
淡白な味のそばなのだそうだ。

だから、日本向けに風味の強い品種を開発し、
契約栽培で作られているらしい。
そのため、毎年、ほぼ同じ量が輸入されるし、
価格変動はあまりない。

そう言えば、何年か前に、
そばの農園をやっているという、
体格のいいアメリカ人が、
製粉会社の人とやってきたことがあったっけ。
ちゃんと、日本で食べられているそばを、
研究しているのだね。

ロシアからの輸入は、
ここ数年でグンと伸びている。
もともと、ロシアや東欧諸国は、
そばの栽培の盛んなところ。
粒のままスープにして食べられているとか。
あれ、キャビアも、そば粉のクッキーで
食べるのではなかったっけ。

ところが、商習慣の違いや、
手続きの問題などがあり、
なかなかスムーズにいかないところがあるようだ。
価格も、輸入量も、変動が激しいところだ。

全体に、玄そばの輸入量は、
減少傾向にあるという。
特に、中国からの輸入は減っている。

ところが、日本のそばは、
やっぱり中国の力に頼っているのだね。
玄そばの代わりに増えているのが、
皮をとった抜き(むき実)なのだ。
これらは主に、乾麺などの加工用に使われるらしい。

今や、中国からは、玄そばより多く輸入され、
抜きは、玄そばに換算すると、
5万トンぐらいになるらしい。

一昨年の統計では、
玄そば、抜きを合わせた輸入量の総計は、
約10万トン。
そのうち75パーセントは中国からのものだ。

この中国産の値段は、
以前に比べてかなり高くなっていて、
今や、アメリカ産と同じぐらいになっているとか。
加工業者さん泣かせなのだ。

そこで、たくましき日本の商社は、
新たな産地を求めて、
ブラジル、モンゴルなどからも、
そばを輸入しようとしているとか。

でもねえ。

日本には、
空いている畑がたくさんあるのだよ。
この長野の周辺だって、
少し山の中に入ってみれば、
動物の住処となるつつある、
かっての耕作地がたくさんある。
せっかく、お金と労力を使って切り開いたのにね。

一茶の時代のように、
山の上まで真っ白になるまで、
そばの花が咲き乱れるような風景は無くなってしまった。
今、そばの花が咲くのは、
かって米が作られていた田んぼなのだ。
米も余っている時代になってしまったからね。

値段が安いからと、
遠くのそばを買いに行くのではなく、
なんとか、身近で、
美味しいそばが採れるようになってもらいたいものだ。

 

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去年も不作!国産ソバが不足している。

なんでも、和菓子屋さんが困っているらしい。
アンコの材料となる、
国産の小豆が、天候不順のため不作で、
手に入りにくくなっているとか。
もちろん値段も上がっている。

 

これは、昨年の、北海道の長雨が原因だとか。
ほとんどが、北海道産に頼っていたため、
ここで採れないと流通しないのだそうだ。

 

これは、ソバも同じこと。

 

年によっては、全国のソバの生産量の、
半分近くを育てていた北海道なのだが、
昨年は、量が、ぐっと減ってしまった。

 

長野をはじめとする他の産地の収量も思わしくなく、
全体に、国産のソバが、手に入りにくくなってしまったのだ。

 

色々と情報が錯綜していて、
迂闊なことを書けなかったのだが、
先月になって、農水省の統計が発表された。

 

それによると、
昨年30年の全国のそばの収穫量は、
前年の16パーセント減の28,800トン。
なんだ、たくさん採れているではないか、、、
と思ったら、ちょっと違うようだ。

 

豊作と言われた平成24年には、
全国で44,600トン採れている。
その時の収穫率は、
10アールあたり73キロ。
ところが、昨年は、
10アールあたり45キロしか採れていないのだ。

 

これでは、質の良いソバは限られてしまうし、
農家の人も、
収穫が少なくて大変だろうなあ。

 

ということで、
質のいい国産のそば粉の相場は、
カクッと音を立てて上がってしまった。
製粉屋の社長は、玄ソバを仕入れるために奔走し、
ますます不機嫌な顔になっているとか。

 

どうもここのところ、
そばの出来の悪い年が、
数年続いている。
それだけ、自然の変化に、
弱い作物なのかもしれない。

 

また、農家の人も、
あまり、生産に力を入れていない現実もあるようだ。
だって、他の作物に比べて、
あまりお金にならないからね。

 

今年こそ、
天候に恵まれて、
良いソバがたくさん採れますように。
って、毎年言っている気がするが、、、。


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武将隊の案内で上田の街めぐり

上田といえば、三年前のNHKの大河ドラマ、
「真田丸」で一躍注目を浴びた場所。
上田城を作った真田昌幸、その子信繁(幸村)の活躍した舞台。
その年は、大いに観光客で賑わったそうだ。

長野からは、新幹線でわずか11分、
しなの鉄道の各駅停車でも35分で着いてしまう、
すぐ近くの町。
でも、何回も訪ねている割には、
意外と町のことをよく知らない私。

そこで、この冬の休みに、
ガイド付きのツアーに参加してみることにした。
案内してくれるのは、
真田幸村と十勇士に扮する「おもてなし武将隊」のメンバー。
筧十郎と根津甚八のご両名。
さぞかし、大勢の参加者がいることだろうと思っていたら、
駅前に集まったのは、
我々二人だけ。あらら、、、。

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それでも、駅前の幸村公の像の前で、
気勢を上げて出発。

昭和の匂いを残す古い繁華街を抜けて、
真田家ゆかりの寺なんぞをめぐる。
細い露地を抜けたりして、探検気分十分。
古い街道筋には、
昔ながらの屋根の大きな建物なんぞが残っている。

ここは昌幸公の奥方の菩提寺。
禅宗の寺らしい、きりりとした雰囲気が漂う。

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柳町は宿場跡で、
造り酒屋などの、立派な建物が並んでいる。

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幸村の兄、信之の奥方、小松姫の墓のある寺には、
真田の紋である六文銭と、徳川の三つ葉葵が並んでいる。
なるほど。
こんな立派なお寺があったのだね。

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それから上田城まで、
三時間にわたってご案内をいただいた。
お二人の派手な格好は、よく目立ち、
通りがかる地元の人からも声がかかる。
すでに、おなじみとなっているようだ。
寒くないの?と聞けば、
下にダウンを着ているから大丈夫とのこと。
それよりも、夏の暑さの中の方が、大変だそうだ。

この武将隊、観光客の集まる季節には、
上田城を中心にして、様々なイベントに参加されているそうだ。
上田の街を元気にしようと、
頑張っているのだね。
他の地域にも、武将隊があって、
交流もされているとのこと。

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ということで、ほぼマンツーマンで、
案内していただき、とても贅沢な気分になった。
おそらく、ガイドされなければ、
踏み込まなかった道、小さな歴史なんぞを、
知ることができたのだからね。
ありがたいことだ。

これからの観光は、こういう企画が必要なんだなあ、
と、つくづく思う次第。

で、寒風にさらされた後は、
上田ならでの、馬肉を使った肉うどんで温まったりして、、。


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宅配のシステムがあるから送れる年越しそば。

 
年末年始の営業の山が終わって、
骨身にしみるような寒波と一緒に、
静かさが店にやってきた。
昨年も、多くの方に、
年越しそばのご注文をいただき、
大変ありがたいことだと思っている。
年末の30日が、一番のそば打ちのピークとなる。

何しろ、宅配便の受付締め切り時間までに、
頼まれた数量のそばを打ち切らなければならないのだ。
打つペースを保ちながら、淡々と10回余りのそば打ちをこなした。

途中で、新聞社の取材が入ったりして。
年末の風物誌ということなんだね。
写真がうまく撮れずに、何回も撮り直しに来たりして、
記者さんも大変だ。

 



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その打ったそばを、
間違いのないように、箱詰めする。
これも気を使う仕事だ。
そうして、注文を受けた、50個ほどのそばを無事に発送した。

 
さて、これからも心配。
大雪でも降ったり、
どこかで事故でもあって渋滞があれば、
翌日の年越しそばに間に合わない。

 
大晦日は、店での持ち帰り用のそばを、
腰の痛みに耐えながら、なんとか打ち切った。
そして、翌日の、元日からの営業の仕込み。
そして、送ったそばが、
無事に着いたかどうかの確認。

 
今は、ネットで、伝票番号を入れれば、
配達状況がわかるのだから、
便利なものだ。
6時を過ぎれば、ほとんどの荷物が配達済みとなっている。

 
おや!午前中配達の予定なのに、
まだ配達されていないとところが一件ある。
しかも、現地の配送センターにも届いていない。
ということで、宅配会社に問い合わせてみた。
調べるとのことで、30分後に返事をいただいたら、
なんと、別の配送センターに送られてしまっているとのこと。
どうやら、その日のうちに届かないらしい。

 
あれ〜、困った。
大晦日に届かなければ、
年越しそばではなく「年越したそば」になってしまう。
なんでも原因は、伝票に書かれた郵便番号が間違っていて、
その番号のところへ行ってしまったとか。
いつもは、住所と郵便番号を照らし合わせるのだが、
忙しさのあまり、それを怠っていたとのことで、平謝り。

 
たまたま、その伝票は、ある知り合いのお客様が、
ご自分で書かれたものだった。
すぐに連絡して、その旨を伝えると、
納得していただいた。
あとで、宅配会社からも、謝罪の電話があったそうだ。
年が明けて、翌日の午前中に届いたのだが、、。

 
これに懲りて、店でも、郵便番号の確認をしてから、
発送した方がよさそうだ。
手間になるけれど、こういうことが起こらないようにしなければね。

 
8時近くになっても、まだ二件が届いていない。
一件は二度ほど行ったが不在とのこと。
こちらはメールをして確認。
ほんの少し留守をしていた時に、
タイミング悪く配達に来たとのこと。
もう一件は、雪深い場所。
前の日の雪で、交通の乱れがあるようだ。
それでも、どちらも、8時過ぎには配達済みとなって、ホッとした。
みなさんに、上手に茹でていただけることを願うだけ。

 
配達の人たちも、
大晦日に遅くまで働かれて、大変なことだと思う。
たくさんの荷物が、こうして、正確に相手に届くというのは、
大勢の人の努力のたまものなのだろうねえ。
いくらコンピューター、インターネットの時代でも、
実際に届けているのは人なのだものね。

こういう仕組みがあるから、
大晦日にそばを送ることができるのだ。

 
ということで、
毎年大騒ぎの年越しそばだけれども、
ちょっとしたトラブルはあったけれど、
他には間違いもなく、無事に済ませることができた。
ご注文をいただいたお客様、
ありがとうございました。


 
 

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健康管理も仕事のうち。

先日、近くの飲食店のご主人が、
救急車で運ばれていった。
ご本人は意識もあり、しっかり口も聞けるのだが、
どうも体の様子が変な感じらしい。
 以前に脳卒中を経験したことのあるそのご主人。
これは危ないなと思ったのだね。
そういう場合は、すぐに病院に行ったほうがいい。
大したことがなければいいけれど。
 
 やはり近所の、パン屋さんのご主人も働き者だった。
朝早くからパンを焼き、夜暗くなっても店を開けていた。
手頃な値段で、人気のあるパン屋さんだった。
ところが、突然の閉店。
なんと、ご主人が、仕事中に突然の心臓の発作で亡くなったのだそうだ。
 
 あるイタリア料理店のマスターも、
買い物へ歩いて行く途中で意識を失って倒れてしまった。
肝臓の具合が悪化していて、一週間以上の入院。
その間、大事な予約が入っていたので、
一旦帰らせてくれと頼んだが、医者は許さなかったそうだ。
 
飲食店の仕事は、なかなかハードだ。
特に個人営業の場合は、
他に替わりがないから、どうしても本人が頑張るしかない。
また、自分の料理へのこだわりが深いほど、
それにのめり込んでいく。
 
だから、必然的に長時間の仕事となるし、
本人の食事なども、不規則にならざるを得ない。
客の方から見れば、
限られた営業時間だけ、頑張ればいいのだからと思われがちだが、
実は、そのために、ものすごい努力をしているわけだ。
 
働き方改革などと言われているけれど、
その外に置かれているのが、
個人の飲食店の店主なのだろうなあ。
なかなか気づかれないけれど、
みんなかなり頑張っているんだ。
 
料理を作る人が、元気でなければ、
当然、美味しいものはできないよね。
かくいう私も、気をつけなくてはね。
せめて、毎日6時間は眠りたい、、、、、
という夢を見続けながら、
久しぶりのブログの更新。
 
畑は秋の終わりの色、アスパラの実です。
 
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大盛りのない店、盛りの少ない店にはそれなりのコダワリ。

先日、ある蕎麦屋でそばを手繰っていたら、
あとから来た人が、
そばの大盛りを注文した。
そしたらご主人が、大盛りはやっていないという。
一枚召し上がっていただいた上で、
追加のご注文をお願いいたします、
との、丁重なご説明。

そこは、粉も自分で挽いている、
こだわりのお店。
自分の苦労をかけたそばを、
最後まで美味しく召し上がっていただくために、
あえて、そういう選択をしているのだね。

東京の老舗の蕎麦屋でも、
大盛りという頼み方は無いところが多い。
そばは伸びやすいので、
一度にたくさんのそばを盛れば、
最後の方は、味がだれてしまう。
だから、たくさん召し上がりたい方は、
「御替わり」を頼んだほうが、
美味しくいただけるというわけだ。

老舗のそばの盛りが少ないというのも、
同じ理由による。
一度に食べるそばの味が、
舌に飽きないうちが、そばを楽しめる。
つい勘ぐりたくなるが、
けっしてケチなわけではない。

なんでも、昔のそばの盛りは、
今よりずっと少なかったらしい。
明治の初めに撮られた写真で、
芸者さんたちが、何人かでそばを食べる写真を見たことがある。
それぞれの女性が、せいろを何枚も積み重ねているところを見ると、
この人達はよっぽど大食い、、、、
ではなく、一枚のそばの量が少なかったようだ。

なんでも、明治の終わり頃までは、
そばの一人前といえば、
せいろが二枚来たのだそうだ。

今でも長野県の中部や南部では、
そんな習慣があって、
一人前と頼むとそばが二枚来る店がある。

だから、せいろ一枚の量が少なかったのだね。

確かに、食べ比べてみると、
少ない量で、その都度そばを茹でてもらったほうが、
飽きずに、そして、量をいただけるようだ。

なんでも、大盛りと注文される前に、
そんな食べ方も試されるといいかもしれない。

ちなみに、かんだたでは、
しっかりと大盛りがあったりして。

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モリアオガエルとクロサンショウウオの池

皆さんはモリアオガエルという生き物を、
ご存知だろうか。
カエルと聞くだけで、
あ〜気持ち悪い、という方もいらっしゃるかもしれない。

私にとっては、
若い頃のいつかどこかの動物園で見かけて、
とても気になった生き物。
ほんの五センチぐらいの大きさのカエルだが、
手の吸盤の大きさが特徴的。
それもそのはず、このカエルは、
木の上で暮らすのだという。

先日、今は長野市となった鬼無里(きなさ)の、
奥裾花(おくすそばな)自然園を訪れた。
ここは、春の水芭蕉(ミズバショウ)の群生で有名な場所。
5月の初めの頃の、まだ、残雪のある時期に、
一面の水芭蕉の花が楽しめる。

その花の時期には、
大勢の人が押し寄せる。
観光バスも来る。
でも、自然を守るため、
駐車場からは、約一時間歩かなければならない。
それでも大混雑をするらしい。

その水芭蕉が、
おばけのような巨大な草になった今、
奥裾花自然園の広い駐車場に、

ぽつんと私達の車だけ。 
 
 
 
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ここから登ることのできる山に、
花を楽しみがら登りに行ったのだ。
その帰りに寄ったのが、
この自然園の奥にある吉池というところ。

ブナをはじめとする天然林に囲まれたこの池は、
ほんの二十メートル四方の小さな池。
水が湧いているわけでもなく、
流れて来る川もないので、

大きな水たまり、という雰囲気。
 
 
 
 
 
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でも、ここは、はじめに書いた、
モリアオガエルの産卵の場所なのだ。

とにかく、どんな音も、吸い込んでしまいそうな、
静かな池。
周りに、木が取り囲んでいる。
その木に枝先に、何やら、白いかたまりが見える。

大きさは、大人の握りこぶしほど、
泡のようなものに包まれたかたまりだ。
よく見ると、向こう岸の、
十メートル以上の高さがありそうな枝先にもぶら下がっている。

これが、6月頃産卵するという、
モリアオガエルの卵なのだ。

ほとんどのカエルが水の中で卵を生むのに、
木の上に生息するこのカエルは、
高いところにある木の枝に卵を生むのだ。

そうして、木の上の泡の中で孵ったカエルの子、
オタマジャクシは、まっすぐ下に落ちていく。
そこが、池の中なのだ。

つまり、このカエルは、
池の上に張り出した枝に、
卵を産むのだね。

オタマジャクシは池の中で育ち、
やがて手も足も出てくると、
池を離れて森のなかで暮らすようになるのだ。

なるほど、そういう循環になっているのだね。
 
 
 
 
 
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ところが、この池には、
もう一つの生き物がいる。
クロサンショウウオだ。

こちらも、春先に卵を生み、
ちょうど鶏の卵のようなかたまりを、
水の中に見ることができる。
そして、こちらのほうが早く孵化するのだよね。

つまり、木の上で生まれたモリアオガエルのオタマジャクシは、
やはり、生まれたばかりのクロサンショウウオが、
口を開けて待っている池の中に落ちるのだ。

私が初めてここで、
この光景を見たのは、20代初めのこと。
えっ、もう40年前のことだって。
それでもいまだに、この営みが繰り返されているのは、
それなりに自然界のバランスがとれているということだろう。

とにかく、ブナの原生林といい、
森のなかの生き物といい、
そして、季節を忘れない花たちに、
心の中に沁みるものがある。
私達は、こんな自然の中で生きているのだね。

そして、こんな生き物もいる。

彼らから見れば、人間ほど恐ろしい生き物はいないのだろうね。
 
 
 
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